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坂の上の雲(第一巻)/司馬遼太郎

2004 2月 14
by shinya

4167105764.09.MZZZZZZZ.jpg僕はアメリカに来る前、引っ越しをした事が一度もなく、ず〜っと東京で育ちました。そんなわけで、東京という環境で育ったことは僕の性格やら考え方やらに大きく影響していると思います。でも、僕は「東京生まれ」ではないんです。里帰り出産ということで、僕は母の実家である愛媛県、松山で生まれました。
小さい頃から毎年夏休みなどに必ず松山の祖母、祖父の家に行きました。そのため、松山は僕のなかで東京と同じくらい重要な第二の故郷なんです。ただ、今ままで僕の生まれ故郷のことをあらためて考える機会がありませんでした。ところが今、「こころ」と「坂の上の雲」を読むにいたって、自分の中で愛媛県松山というものをあらためて考える機会に恵まれています。


前回のエントリーでも書いた夏目漱石は松山の中学校で教鞭をとっていたこともあり、松山には漱石にちなんだお土産や名所がたくさんあります。そして、それと同じくらい有名なのが俳人、正岡子規。この「坂の上の雲」の主人公の一人です。徳川幕府による封建制度が崩れた後の明治という新しい時代を描いたこの作品に、夏目漱石も子規の親友として、少しだけ語られています。「こころ」を読んだ後に、その作者がこの本に登場してきたので、なんだか不思議な気持ちになりました。
ともかく、今はこの本を夢中になって読んでいます。主な登場人物は近代文学に偉大な足跡を残したとされる正岡子規、日露戦争で大活躍した秋山好古、真之兄弟の三人。当時世界の中で、極東の小さな島国に過ぎなかった日本が、ヨーロッパの列強に肩を並べるまでになったわけですが、その奇跡を成し遂げた主人公として、司馬遼太郎氏は彼らを選び、その成長の過程をこの作品で描いています。そして、すべて愛媛県松山出身ということで、僕はものすごく親近感を持ちながら読んでいるというわけなんです。生まれただけの僕がこうなのですから、松山出身の方にとってはたまらない一冊なのかもしれないですね…。自分に関係のある土地が小説などに出てくると、すごく嬉しいですよね。とくに歴史小説などだと、自分がよく知っているはずの土地が違った目で見えてくる。
「こころ」にも書かれていましたが、この明治維新というのは、人々にとって相当大きな変化だったみたいですね。維新の前は人々の仕事や身分というものはほぼ固定されていて、それをどうすることもできなかった。でも維新後はその上下がなくなり、誰でもが上を目指せるようになった。そんな中で、人々は「さて、じゃあ自分は何をしたらいいんだ?」と、逆に自分を見失ってしまっている。でも、とりあえず学問だけはやっておいて損はないということで、みんな必死に勉強しようとする。なんだか、現代の日本に通じるものがあって、非常に面白いなと思いました。正岡子規なども、自分の才能は一体なんなんだと悩んでいる。そういった描写を読んでいると、なんだか歴史上の人物が身近に感じられてとても面白いです。あくまで、これは物語だとは思うんですが、僕にとってまったく未知の世界だった明治という時代がだんだん身近になってきました。そして、僕はそんな歴史の上に存在しているという感覚を持つ事ができるようになりました。僕はどうも太平洋戦争の前の時代と自分とが分断されているような感覚を常に持っていたので、それがなんか少しずつ繋がっていくような感じです。
なんだか日本人として、自分のルーツをたどり、日本人であることに自信を持つために。今すごく良い読書をしているような気がします。そして、自分の生まれ故郷である、愛媛県松山というものにさらなる愛着を持ち始めています。次に日本に帰った時、愛媛を訪ねるのがとても楽しみです。漱石や子規のゆかりの地などを訪ねて歩ければと思います。それと、松山の祖母は俳句をやるのですが、この本を読んだ後に、少し正岡子規の話で盛り上がれるかもしれないな…、などと思ったりもしています。
この本は全部で八巻ということなので全て読むのにはまだ時間がかかりそうです(手元には二巻までしかないですし…苦笑)。でも、また途中で感想などを書いていければと思っています。

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  • カトー

    二日連続僕の大好きな本がレビューされていて、なんたる偶然!僕も留学中に読みました。司馬遼太郎さんの明治時代の本には、本文から外れているようなところで、外国留学している日本人がでてきて、ついつい、自分も留学中だから、そのような歴史上の人物をライバル視して、「彼らに負けないことをやろう」と思って読みました。やっぱり、自分の目標、というか「自分は何をするべきか」というようなことを、こういう本を読みながら考えていました。
    本文には出てこなかったと思いますが、後に、日本海軍の司令官として東郷さんがでてくるのですが、フィンランドだかスウェーデンではロシア艦隊をやっつけた東郷さんは英雄で、現在も「トーゴー」という名前で、東郷さんの写真のラベルのついたビールがあるそうです。家の近くのレストランにそのビールがあるといううわさを聞きましたが、まだ試していません。

  • shinya

    おお、連続書き込みありがとうございます。嬉しいです。司馬遼太郎氏の本を読むと、なんか自分を登場人物とダブらせて、スケールのデカイ人間になった気分になっちゃいますよね。僕は「龍馬が行く」を読んで、自分の人生の使い方についていろいろ考えさせられました。一度っきりの人生なんだから、デッカい志を持って生きようって、そんなことを思ったりしました。たとえそれが大ホラでも、自分の気持ちの中に秘めておくのなら、誰にも迷惑かけないですしね。
    「トーゴー」のビールの話は初めて聴きました。どんな味なんだろう…。